副業で毎月3万円、1年で36万円が振り込まれても、36万円をすべて使えるわけではありません。必要経費を引いた「所得」に所得税と住民税がかかり、その支払いは翌年の3月と6月以降にやってきます。この記事では、会社員・フリーランス・配偶者の扶養に入っている主婦・主夫の例で、経費と税金を引いて手元に残る額と、いつ・いくら払うのかを2026年分の制度で計算します。
この記事は、2026年(令和8年)中に得た副業収入にかかる所得税と、2027年度の住民税を、国税庁・総務省・日本年金機構などの公式情報をもとに概算したものです。実際の税額は、本業の所得、家族構成、各種控除、住んでいる自治体によって変わります。個別の判断は税務署・市区町村・税理士などに確認してください。情報確認日:2026年10月4日。
副業の売上がそのまま手取りになるわけではない
売上から経費を引いて所得を出し、その所得から税金を引く順番で考えます。まず、この記事の会社員Bの例を図で確かめましょう。
- 1 売上360,000円
ここから、仕事に必要だった経費60,000円を引きます。
- 2 副業の所得300,000円
所得税15,315円(復興特別所得税を含む)と住民税30,000円を差し引きます。
- 3 手元に残る額254,685円/年
1か月あたり約21,200円。所得300,000円のうち45,315円を税金用に取り分けた後の金額です。
税額は本業の所得や控除などで変わります。フリーランスの人や扶養を外れる人は、さらに健康保険料・年金保険料の負担を確認します。給与で受け取る副業には、この計算をそのまま当てはめません。
税金の計算に使うのは、売上ではなく所得です。副業による業務の雑所得は、総収入金額から必要経費を差し引いて計算すると国税庁が案内しています。[1]
必要経費は、その収入を得るために直接かかった費用や、業務上の費用です。私生活と仕事の両方に使う支出は、取引の記録などから仕事に必要だった部分をはっきり区分できる金額に限られます。[2]
アルバイトのように給与として受け取る副業は、計算の仕方が違います。違いは受け取り方による税金の扱いで説明します。
「副業が20万円以下なら税金はかからない」は正しくない
よく聞く「副業が20万円以下なら何もしなくてよい」は、所得税の確定申告に関する基準です。給与を1か所から受け取り、その給与が源泉徴収されている会社員などは、給与以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要になります。20万円以下なら、所得税の確定申告をしなくてよい場合がある、という制度です。[3]
- 20万円は売上ではなく、経費を引いた所得で判定する
- 本業の給与が年末調整されていることなどが前提で、給与収入が2,000万円を超える人などには当てはまらない
- 医療費控除などで確定申告をする年は、20万円以下の副業所得も一緒に申告する
- 所得税の確定申告をしない場合も、住民税の申告は市区町村に必要
- アルバイトなど給与で受け取る副業は、判定の仕方が違う
住民税は所得に対しておよそ10%かかるため、副業の所得が20万円以下でも払うことになります。住民税の申告が必要になる例は、横浜市なども案内しています。[4]申告が必要な条件と時期は、副業の確定申告はいつ必要?で詳しく整理しています。
会社員の副業:所得10万円と30万円で手元に残る額を比べる
本業の会社員が、業務委託で副業をした3つの例を並べます。共通の前提は次のとおりです。
- 本業の給与は年末調整済みで、副業のほかに確定申告をする理由はない
- 副業の報酬から源泉徴収はされていない
- 所得税には復興特別所得税(所得税額の2.1%)を含める
- 住民税は標準的な税率10%で計算する
- 本業の健康保険・厚生年金の保険料は変わらないものとする
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| 項目 | A:年12万円を売り上げた | B:年36万円(月3万円)を売り上げた | C:Bと同じ副業で、本業の給与が高め |
|---|---|---|---|
| 本業の想定 | 年収400万円(所得税率5%) | 年収400万円(所得税率5%) | 年収600万円前後(所得税率10%) |
| 売上 | 120,000円 | 360,000円 | 360,000円 |
| 必要経費 | 20,000円 | 60,000円 | 60,000円 |
| 副業の所得 | 100,000円 | 300,000円 | 300,000円 |
| 所得税 | 0円(確定申告が不要な場合) | 15,315円 | 30,630円 |
| 住民税 | 10,000円 | 30,000円 | 30,000円 |
| 手元に残る額 | 90,000円 | 254,685円 | 239,370円 |
| 1か月あたり | 約7,500円 | 約21,200円 | 約19,900円 |
年収400万円:給与所得 276万円 + 副業 30万円 − 社会保険料 60万円 − 基礎控除 104万円 = 課税所得 142万円 → 195万円未満なので 5%
年収600万円:給与所得 436万円 + 副業 30万円 − 社会保険料 90万円 − 基礎控除 104万円 = 課税所得 272万円 → 195万円以上330万円未満なので 10%
独身で、社会保険料を年収の15%、ほかの控除はないと仮定した例です。給与所得控除と基礎控除は2026年分の額を使っています。扶養している家族がいる場合などは課税所得が下がり、税率が変わることがあります。給与所得控除(年収400万円なら124万円、600万円なら164万円)と基礎控除は国税庁が公表している2026年分の額、税率は国税庁の速算表によるものです。[5][6][7]
AとBを比べると、売上は3倍なのに、税金は10,000円から45,315円へ約4.5倍になります。Bは所得が20万円を超えるため、所得税の確定申告が必要になるからです。BとCは同じ副業でも、税金が15,315円違います。所得税の税率は副業の所得だけで決まらず、本業の所得と合わせた課税所得で決まります。そのため「副業の所得が30万円なら税金はいくら」と一律には言えません。
Aの人も、医療費控除などで確定申告をする年は10万円の所得を申告に含めるため、所得税が5,105円かかります。
報酬から源泉徴収されている場合
原稿料など一部の報酬は、支払う側が源泉徴収をしてから振り込みます。100万円以下の部分は報酬の10.21%です。[8]Bの36万円がすべて源泉徴収の対象なら、36,756円が引かれて入金されます。所得税は15,315円なので、確定申告をすると差額の21,441円が戻る計算です。ただし住民税の30,000円は別にかかるため、入金額をすべて使ってよいわけではありません。源泉徴収されているかは、支払明細や支払調書で確認できます。
自分の数字で手元に残る額を計算する
働き方と副業の売上・経費を入れると、2026年分の制度で所得税・住民税と手元に残る額、払う時期を概算します。この記事の例と同じ前提で計算しており、最初はBの例(年収400万円の会社員が月3万円を売り上げ、経費が月5,000円)が入っています。フリーランスや扶養に入っている人の注意点も、選んだ働き方に合わせて表示します。
2026年の副業収入は、2027年3月と6月以降に払う
源泉徴収されない報酬は、税金が引かれないまま振り込まれます。税金を払うのは、稼いだ年の翌年です。Bの会社員なら、支払いは次の2回に分かれます。
2027年3月15日までに:所得税 15,315円
2027年6月以降に:住民税 30,000円(給与から天引きされるなら1年かけて、自分で納めるなら数回に分けて)
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| 時期 | 起きること | 対象になる人 |
|---|---|---|
| 2026年1〜12月 | 売上と経費を記録し、請求書・領収書を保存する | 全員 |
| 2027年2月16日〜3月15日 | 2026年分の確定申告[9] | 確定申告が必要な人 |
| 2027年3月15日 | 所得税の納期限[10] | 確定申告で税金を納める人 |
| 2027年4月中旬〜下旬 | 振替納税で口座から引き落とされる(正確な日は国税庁が確定次第掲載)[10] | 振替納税を使う人 |
| 2027年6月〜2028年5月 | 住民税が毎月の給与から差し引かれる(年12回)[11] | 会社員(特別徴収) |
| 2027年6月・8月・10月、2028年1月 | 住民税を自分で納める(横浜市の例。納期は自治体ごとに確認)[11] | 普通徴収の人 |
| 2027年6月ごろ | 国民健康保険料の新しい年度の額が通知される(横浜市は6月中旬)[12] | 国民健康保険に加入している人 |
| 2027年7月・11月 | 所得税の予定納税[13] | 2026年分の申告納税額をもとにした額が15万円以上の人など |
| 2027年8月・11月 | 個人事業税(東京都の例)[14] | 事業主控除(年290万円)を超える事業所得がある人など |
会社員の副業分の住民税は、本業の給与からまとめて差し引かれるか、自分で納めるかのどちらかになります。どちらになったかは、2027年6月ごろに届く住民税の通知で確認してください。
入金のたびに、副業の所得の15〜20%を残す
税金の支払いは1年近く後になります。入金のたびに税金の分を別の口座へ移しておくと、翌年に慌てずに済みます。残す割合は、本業と合わせた課税所得の税率で決まります。
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| 本業と合わせた課税所得 | 所得税(復興特別所得税を含む) | 住民税 | 残す目安 |
|---|---|---|---|
| 195万円未満 | 5.105% | 10% | 所得の約15% |
| 195万円以上330万円未満 | 10.21% | 10% | 所得の約20% |
| 330万円以上695万円未満 | 20.42% | 10% | 所得の約30% |
Bの例で毎月3万円が入金されるなら、経費5,000円を引いた所得25,000円の約15%、約3,800円を税金用に分けておきます。12か月分で約45,000円になり、2027年の支払いにほぼ足ります。
課税所得が税率の境目をまたぐ場合は、超えた部分だけに高い税率がかかります。報酬の全額から源泉徴収されている人は、税率が5〜10%なら所得税の分はすでに引かれているため、住民税の分(所得の約10%)を中心に残します。
フリーランス:所得が30万円増えると、翌年の保険料も上がる
本業がフリーランス(個人事業主)で、案件が増えて所得が30万円増えた場合です。増えた分にかかる所得税の税率を10%と仮定します。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 増えた所得 | 300,000円 |
| 所得税(復興特別所得税を含む) | 30,630円 |
| 住民税 | 30,000円 |
| 税金の合計 | 60,630円 |
| 税金を引いて手元に残る額 | 239,370円(国民健康保険料の増加分は含まない) |
会社員と違うのは、税金のほかにも翌年の負担が増えることです。
- 国民健康保険料:前年の所得をもとに計算されます。2026年の所得が増えると、2027年度の保険料が上がる可能性があります。料率は自治体で異なるため、この記事の計算には入れていません。
- 予定納税:前年分の申告納税額などをもとにした額が15万円以上になると、7月と11月に所得税の一部を前払いします。翌年の確定申告で精算されます。
- 個人事業税:法律で定められた業種の事業所得にかかる都道府県の税です。東京都では年290万円の事業主控除があり、原則として8月と11月に納めます。
税金を引いた239,370円も、国民健康保険料がいくら増えるかを確かめるまでは、すべてを使わないようにします。
扶養に入っている主婦・主夫:所得50万円と130万円で比べる
配偶者の扶養に入っている人が、在宅の業務委託で収入を得た場合です。税金の扶養(配偶者控除)と、健康保険・年金の扶養は別の制度で、基準も違います。ほかに収入はなく、本人が扶養している家族もいない前提で、2026年分を計算します。
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| 項目 | 売上60万円・経費10万円 | 売上150万円・経費20万円 |
|---|---|---|
| 所得 | 50万円 | 130万円 |
| 本人の所得税 | 0円(基礎控除104万円の範囲内) | 約13,300円 |
| 本人の住民税(2027年度) | 約1万円 | 約9万円 |
| 配偶者の税金の控除 | 配偶者控除を受けられる(合計所得62万円以下) | 配偶者控除は受けられない。配偶者特別控除は6万円に下がる |
| 健康保険・年金の扶養 | 売上が130万円未満のため、続けられる見込み(配偶者の収入の半分未満などの条件あり) | 年間収入が130万円未満に当たらないため、外れる見込み |
| 新たに払うもの | なし | 国民年金保険料(月17,920円、12か月で215,040円)と国民健康保険料 |
所得税・住民税は、社会保険料控除やほかの控除がない場合の概算です。住民税は標準的な税率と均等割で計算しています。国民年金保険料や国民健康保険料を払った年は、その額が所得から差し引かれ、税金は下がります。配偶者特別控除の額は、控除を受ける配偶者の合計所得が900万円以下の場合です。[15][16][17]
所得税が0円でも住民税はかかる
住民税の基礎控除は43万円で、2026年分の所得税の基礎控除(所得132万円以下なら104万円)より小さくなっています。そのため、所得税がかからなくても住民税はかかることがあります。本人が扶養している家族がいない場合、住民税の所得割がかからない基準は所得45万円以下で、所得50万円ではこれを少し超えます。[18]
130万円に近づいたら、税金より社会保険を先に確かめる
売上150万円の例では、国民年金保険料だけで年215,040円かかり、本人の所得税と住民税の合計(約10万円)を上回ります。税金だけでなく、健康保険の扶養を外れた場合の負担を確認してください。
健康保険の「年間収入」は、税金の所得と同じ計算とは限りません。日本年金機構は、年間収入を過去の収入ではなく、これから1年間の見込み額としています。自営業の収入は、事業のための必要経費を差し引いた額です。[19]どの支出を差し引けるかは加入先の健康保険によって扱いが異なり、税金の計算で経費にした支出が認められないこともあります。130万円に近づいたら、配偶者の勤め先や加入している健康保険に確認してください。
受け取り方によって、税金の扱いが変わる
同じ「副業の収入」でも、どう受け取るかで税金の計算と手続きが変わります。
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| 受け取り方 | 税金の扱い | 気をつけること |
|---|---|---|
| 業務委託・在宅ワークの報酬(例:データ入力) | 売上から経費を引いた所得に課税される。自分で記録して申告する[1] | 報酬から源泉徴収されているかを、支払明細で確認する |
| パート・アルバイトの給与(例:スポットワーク) | 給与所得として勤務先が源泉徴収する。2か所目の給与は年末調整されないため、その収入金額とほかの所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要[3] | 従業員51人以上の企業などで週20時間以上働くと、学生を除き勤務先の社会保険に加入する。月8.8万円の賃金要件は2026年10月になくなった[20][21] |
| 手持ちの不用品を売る(不用品販売) | 家具や衣服など、生活に通常必要な物を売った所得には課税されない[22] | 1個または1組30万円を超える貴金属・美術品などは除く[22] |
| 仕入れた物を売る(せどり) | 売上から仕入れ値・手数料・送料などを引いた所得に課税される | 仕入れと販売の記録を残す |
社会保険に加入する企業の規模は、2027年10月から従業員36人以上に広がる予定です。[20]扶養の範囲で働きたい人は、時間を増やす前に勤務先へ確認してください。
「手元に月3万円残したい」なら、売上の目標は月4万円台
ここまでの計算を逆にすると、税金と経費を引いて手元に毎月3万円を残すには、売上は月3万円では足りません。Bと同じく売上の6分の1が経費になる場合、必要な売上は、所得税率5%の人で月約42,400円、10%の人で月約45,100円です。
差の12,000〜15,000円を、作業時間を増やして埋めるのか、単価の高い仕事を選んで埋めるのかで、選ぶ副業は変わります。必要な件数と時間の出し方は、副業で月5万円は現実的?必要な時間と単価を逆算するで、副業ごとの計算例を使って説明しています。
報酬が給与か業務委託かでも、税金の手続きは変わります。たとえば、給与で受け取るスポットワークと、業務委託が中心のデータ入力を、報酬の形や初期費用で並べてみてください。
候補がまだ決まっていない場合は、3問の副業診断や、時間と働き方から副業を探すページから始められます。実際の税額は、国税庁の確定申告書等作成コーナーに自分の数字を入れると確認できます。
参考にした公式情報
本文の参照番号に対応しています。各リンクから公式の案内を確認できます。
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- 国税庁「No.1500 雑所得」 ↗本文へ戻る ↑
- 国税庁「No.2210 必要経費の知識」 ↗本文へ戻る ↑
- 国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」 ↗本文へ戻る ↑
- 横浜市「給与以外に副収入がある場合の住民税の申告」 ↗本文へ戻る ↑
- 国税庁「No.1199 基礎控除」 ↗本文へ戻る ↑
- 国税庁「No.1410 給与所得控除」 ↗本文へ戻る ↑
- 国税庁「No.2260 所得税の税率」 ↗本文へ戻る ↑
- 国税庁「No.2795 原稿料や講演料を支払ったとき」 ↗本文へ戻る ↑
- 国税庁「申告と納税」 ↗本文へ戻る ↑
- 国税庁「主な国税の納期限および振替日」 ↗本文へ戻る ↑
- 横浜市「納税の方法」 ↗本文へ戻る ↑
- 横浜市「保険料について」 ↗本文へ戻る ↑
- 国税庁「No.2040 予定納税」 ↗本文へ戻る ↑
- 東京都主税局「個人事業税」 ↗本文へ戻る ↑
- 国税庁「No.1190 配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるか」 ↗本文へ戻る ↑
- 国税庁「No.1195 配偶者特別控除」 ↗本文へ戻る ↑
- 日本年金機構「国民年金保険料」 ↗本文へ戻る ↑
- 総務省「個人住民税の基礎控除等について」(2026年5月) ↗本文へ戻る ↑
- 日本年金機構「従業員が家族を被扶養者にするとき」 ↗本文へ戻る ↑
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」 ↗本文へ戻る ↑
- 日本年金機構「2026(令和8)年10月に社会保険の短時間労働者に係る賃金要件が撤廃されました」 ↗本文へ戻る ↑
- 国税庁「No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法」 ↗本文へ戻る ↑
情報確認日:2026.10.10。仕事内容や選び方はタスミチが編集したガイドです。料金・制度・利用条件は、本文の公式情報もあわせて確認してください。





